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関口勇一郎

poster 関口勇一郎

    関口勇一郎が、海の世界に浸って18年、ずっと見続けてきた海。

 その海が今、大きく姿を変えています。昨今地球環境問題が話題となり、 私たちもエコ生活をすることが日常となってきています。しかし、自然環境の変化は日常生活に顕著になるものではなく、特に海の中の世界は普段の生活ではなかなか知る事が出来ません。 海の中も、陸上に起こっている環境問題と同様に様々な問題が出ています。

 私は、国内、海外と様々な海でダイビングをしてきました。同じ場所の海でも潜る度に海の色、温度、出会う生物が違って毎回新たな発見があります。 しかし、新たな発見がある以上に、海の中にも確実に環境問題が起こっていることを関口勇一郎は痛感しています。

 15年前私が初めて宮古島・八重干瀬を潜った時、そこはまるで海の中に深い森が出現したかのように、活気のあるサンゴの群生がどこまでも広がっていました。そして、そのサンゴ礁を多くの生物が棲み家としていました。 ところが1998年、地球温暖化により海水温が上昇し、その影響で大規模なサンゴの白化が起来たことに、気づきました。 それまでも白化現象は所々起こっていました。しかしこの時以降、沖縄本島、石西礁湖そして宮古島のサンゴが8割方壊滅状態に陥ったのです。

 近年では、沖縄本島沿岸を潜って白化したサンゴを見ることが当たり前になってきています。また、サンゴ礁域が減少しているため、そこに集まる魚や生物も自ずと減少しています。 これは海の中の問題だけではありませんでした。「魚が減る=漁師の仕事も減る」という図式が、沖縄では問題になっています。

 沖縄では、植樹ならぬサンゴ移植の活動が盛んになってきています。本来、サンゴは7,8年あれば元の数ぐらいまでに繁殖するという習性があります。 しかしそれは生息環境が整っていることが条件です。壊滅的になった’98年以降、サンゴは元に戻ろうとしましたが、度重なる海水温の上昇により成長を妨げられてしまいました。 そのため今、私は人工的にサンゴの移植をおこなって、繁殖の手助けをしています。 移植は、まるで自分の子供を育てる親のような気持ちになります。私は力強く大きく成長することを願って一つずつ大切にサンゴを植えつけています。

 今、海の中でどんな問題が起こっているのか、海に生きる生物にどのような影響が出ているのか、海の中の「今」を多くの人に伝えること。それが関口勇一郎の海に対するエコ活動の一歩だと思っています。 もちろん、ビーチクリーンや水中清掃の活動も重要ですが、関口勇一郎が撮る水中映像にたくさんの人が興味を持ち、もっともっと海の世界に目を向けてもらえるようにこれからも活動を続けていきます。

                        関口勇一郎 Yuichiro Sekiguchi