ザ・大阪湾 of 関口勇一郎  海の写真館

大阪湾再生プロジェクト


二色浜

春一番が吹いた後の水中風景。

大阪湾は汚いというイメージが先行するが、生物の宝庫である。



                       谷川                                            西田 嘉男さん

 大阪湾は、京阪神地域という大都市圏を後背地として抱え、水質汚染が今や有名になっている。海に面している海岸やビーチエリアで自然そのままの姿が残っているのも兵庫県西ノ宮市の御前浜と大阪府岬町の谷川だけになってしまった。
 昆布といっても簡単に成長するわけではない、食害、海水温上昇、水質汚濁や、河川から流れ込む栄養塩類減少が要因で成長しないと言われている。従来は海藻類が吸収しやすい鉄分などが森林から河川を通じて海へ供給されてきたのに対し、近年までは、森林の伐採やダムや岸壁ができることで川からの栄養塩の供給が減少している。最近では漁師が植林活動を行うようになったのも事実である。
谷川にはこの必要とされる栄養分がある。その証に海草や藻を好むアワビやサザエも育っている。

 谷川漁協の西田さんはこう語る。
「ここの漁師は冬場の漁が少なく元々食べていくことができなかった。しかし昆布は冬場に育つ為、食べていく為に育てていた。
 どんどん環境が悪化していく中で、水産技術センターがこの谷川に建てられてから、さらに研究者と、どうしたらいい昆布が育つか勉強がスタートした。近隣地域では鳴門のワカメが有名だが、唯一大阪湾の漁協で谷川が昆布とワカメを育てていた。昆布やワカメが水質改善にいいことを知ってから、さらにこの谷川が素晴らしい海だと感じた。
 12月に養殖ロープへ種糸付けをして収穫は5月。この時期になると大きいものでは3メートルにもなる。成長しやすいように水面近くで育てているのも特徴で、今や良質でブランド化さえされてきている。
 みなさんには大阪湾にもこんな素晴らしいものがあるのを知ってほしいし、是非1度食べてください、ほんまうまいから。」

 と、今からこの冬の準備をしている。